やさしい嘘。

私がまだ、新人だった頃。事件はメイクカウンターで起きました。

その日、お客さまに初めてメイクをすることになり、不慣れな私は緊張していたため、お客さまのまぶたをビューラーで、思いっきり挟んでしまったのです!

あまりの痛さに、ボロボロと涙を流すお客さま。私はひたすら謝ることしかできず、どんなお叱りの言葉を受けても仕方ない…そう覚悟しました。

しかし、そんな私にお客さまは、「これは花粉症で涙が出るのよ…」と、失敗をかばう言葉をかけてくださったのです。
涙が出るほど痛かったはずなのに、私への気遣いまで。そのやさしさに、どれほど救われたことでしょう。

あれから16年。
今でも変わらず、接客させていただいています。子育てや習い事のことなど、いつも楽しくお話ししていますが、ビューラーをさせてもらうのは、もう少し先になりそうです…。

お客さまの深い思いやりに支えられて、今まで歩んでくることができました。
これからも、おばあちゃんになっても、ずっと変わらずお会いできると嬉しいです。

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